土曜日, 5月 13, 2006

activation

わたしは五階にいる。
風にのって桜の花びらが舞っているのが見える。
どっかの生命保険会社の宣伝で
「♪花の命は結構長い♪」といっていたけれど、
桜の花の命はやっぱり結構短い。
そんな訳で札幌は春まっただ中です。
(Blogの調子が悪いのか、私の使い方がよくないのか
桜の写真をBlogに張ることができずにいます。残念。)


「活性化(activation)」
脳の活性化、地域の活性化、


第8回 サイエンス・カフェ札幌 「北海道のCAMUIロケット」
ゲスト:永田 晴紀さん/北大大学院教授
http://costep.hucc.hokudai.ac.jp/sciencecafe.htmlのお手伝い(応援し)に行ってきました。

永田さんが熱いことをいろいろとおっしゃっていたので、
自分をactivateするためにここに記す。

ロケット:
・「おもしろいをすり込む」
何がおもしろいかというのは、思い込みである。
学生達がデータを出してきたとき、
学生達は私(永田さん)の顔を見るのだそうだ。
そのとき、「このデータは面白いね」
と何がおもしろいのかを学生達にすり込む。


・「学生達は宇宙人になる」
宇宙開発という分野で日夜研究に全力で取り組み続けていると
艱難辛苦が快感になってしまった人達なのだ。
< わたし、こんな研究魂、技術屋根性、職人気質に憧れるのね。


社会:
・「町おこし(地域の活性化)には、ハコモノは必要なし! 本物を見せろ!」
お客さんから出た「博物館などのハコモノを建てて、地域の活性化をはかろうとしたけれど、
その後が続かず行き詰まっている企画をよく見ます。
何かよいアドバイスをください (こんな感じだった)」という質問に対する永田さんの返答。
< やっぱ本物が一番面白いよね。
ただ全てが「答えがありき」な科学感(できあがった科学、体裁を整えた科学)で本物を見るときっとかなり辛い。
それは、本物は概して「答えがない」「簡単にはうまくいかない」から(すっきりしてない、泥臭いのね)。
そのreality=本物を損なわずに市民のみなさんにどう覚悟してもらうか、
麻痺させるか、中毒になってもらうかがサイエンスコミュニケーターの腕の見せ所だろう。

・「社会と太いpathがcashを集める」
「お金が有れば何でも買える。人の心だって買える」(某IT企業元社長)
人の心はお金で買えます。
だたし、必要なのはキャッシュ(一時的なお金)ではなくフロー(持続的なお金の流れ)。
CAMUIロケットへ寄せられた思いは、巨額な資産(フローを生み出すもの)。
< う~む。大事なのはフローってことか?
人の行き交い、モノの行き交い、情報の行き交い、金の流れ(フロー)、人の思い。
なにかが生まれる、創造、創発されるメカニズムがそこにあるのだろう。
文化や文明はそれ自体が、人類総体が無意識(集団的無意識)に発明した生命維持装置であるなら、
「行き交い(フロー)」が生み出すメカニズムは生理学的にはなにに相当するだろうか?

おそらく、一個体や特定の細胞のように複雑なメカニズムであるけれど
なにか決まったプロトコールのある(DNAとその発現のような)ダイナミクスではないだろう。
目的も価値観もさまざまな集団の「行き交い」が生み出すダイナミクスはカオスにちがいない。

何かを生み出そうとするなら(そもそも目的をもって生み出すことができるのか不明)
さまざまな「行き交い(流れ、フロー)」を呼び込まなければならない。

社会を構成するのは「ひと」である。つまり、ます「人」のフローを呼び込む。
これに尽きるのだろう。
そしてこれが一番難しい。
なぜなら、ひとの「思い」はさまざまだから。
この「人的フロー」をうまく呼び込むことができる人に、
結果的に「モノ」が集まってくるのだろう。


今回のサイエンス・カフェの終盤、会場が異様な熱気に包まれてた。
そのときは、永田さんの話にお客さんが興奮しているからだと思っていたが、
実は、自分がまさに感動して、体がほてっていたのだ。
う~む、かなりactivateされたイベントだった。


参考Links:
CoSTEP(科学技術コミュニケーター養成ユニット、サイエンス・カフェ札幌の企画、運営)
http://costep.hucc.hokudai.ac.jp/

1 件のコメント:

akishi さんのコメント...

「活性化(activation)」
国産ロケットで地域の活性化。ついでに身も心も活性化。

第8回 サイエンス・カフェ札幌 「北海道のCAMUIロケット」
ゲスト:永田 晴紀さん/北大大学院教授
http://costep.hucc.hokudai.ac.jp/sciencecafe.htmlの
お手伝い(応援し)に行ってきました。

この春からCoSTEP応援団に入団して、初のお仕事(?)。
はりきって札幌駅の紀伊国屋書店に参上。

ゲストの永田さんのお話にかなりactivateされちゃいました。

なぜだか僕は、ロケット開発そのものお話よりも
むしろ永田さんや研究グループの人達がいろんな人達
(町の人、お役人の方々、そして私達)をどんどん巻き込んゆくこと、
そして人々の輪がどんどん広がって、うねりになりつつあること、
このうねりが社会、地域、私達自身の活性化につがってゆくこと
にとても興奮しました。

そこには、単なる科学技術のおもしろさを超えた、
人が社会の一部として生きてゆく醍醐味みたいなものを
感じずにはいられなかったですね。

さて、では永田さんが人々を祭(?)へと
巻き込んでゆく様子をみてみよう(僕の解釈)。

1、「おもしろいをすり込む」
永田さん曰く、
「何がおもしろいかというのは、思い込みの部分が多分にある」
のだそうだ。研究室の学生さん達になにがおもしろいのか、
永田さん自身が学生にすり込むのだという。
そうして、学生さんは巻き込まれてゆくのだ。

2、「学生達は宇宙人になる」
そうして巻き込まれてしまった学生さん達は、
宇宙開発という分野で日夜研究に全力で取り組み続けていくことで
いつの間にか、より困難な問題を解決するための
艱難辛苦が快感になってしまった宇宙人になってゆく。
そんなひたむきに頑張る宇宙人達をそばで見ている
民間会社のエンジニアの人達も居ても立ってもいられず、
彼ら宇宙人を応援し、自発的に彼らの観察記録をビデオにおさめるのだ。
こうしてエンジニアの人達が巻き込まれてゆく。

3、「きっといいデータが取れただろうにと、野菜の差入れがある」
ロケット開発には燃焼実験が欠かせない。
けれど燃焼実験には重大な問題がある、それは「騒音」。
日本は狭い。だから燃焼実験の「騒音」が大問題。たとえこの広い北海道と言えども。
けれど、とてつもない「騒音」を聞いた実験施設のある町の人は、
「昨日はドデカイ音が聞こえたから、きっといいデータが取れたことでしょう」
と育てた野菜を差入れてくれたのだそうだ。(普通は、苦情がくるところだが)
永田さん曰く、「この町民の皆様の暖かいご支援が、私達のもっと大きな資産」。
ロケット発射実験を漁師さんたちも、積極的に協力してくださるのだそうだ。
それはきっと町の皆さんがロケットを自分達のロケットと認めているからだろう。
このように、町民すら巻き込まれている。

4、「我々もお手伝いしないわけにはいかない」
古今東西、お役人の頭は固い。
それはお役人の人格の問題ではない、お役所システムの問題である。
ロケットの発射実験は大変だ。
発射実験のためにお上にお伺いを立てなければならない。
安全確保の為に海上保安庁の協力は欠かせない。
お役所の積極的な協力を得ることはまず出来ないのが一般的だけれど、
実験海域の保安庁は、
「漁師、組合が応援しているのに、お手伝いしないわけにはいかない」と
協力をしてれるのだそうだ。
あれま、お役所までも巻き込まれている。

こうして、どんどん人々の輪が広がってゆく。
この秘密はきっと永田さんの言う
「ロケットを自分のものと思っていただいている」ことに違いない。
永田さんのグループにとっての町の皆さんが資産であるように、
町の皆さんにとって「ロケット」が皆さんの一部だからなのだろう。

多くの人々に「自分達の一部」と思わせる、
人をactivateさせる妙(みょう)が永田さんにはあるのだ。

5、「そしてまた一人」
そしてまたここに一人巻き込まれた(僕のこと)。

「自分達の一部」と思わせる技がきっとサイエンスファシリテーター、
コミュニケーターがもっとも身に付けたい、身に付けるべきものの一つで
あることは間違いない。